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2005年10月21日号 FRIDAY特集 「イラク大虐殺」衝撃写真

2005年10月21日 02:27:00
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「殴打、電気ショック、ドリル痕・・・それでも自衛隊はサマワ駐留を続けるのか?凄惨! 米軍が黙認するイラク大虐殺の衝撃写真」

取材・文:志葉 玲
Photo:イサム・ラシード、相澤恭行
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左写真は、イラク・バグダッドの遺体安置所で撮られたイラク人男性の死体である。赤紫に腫れあがった無数のアザ、ドリルのようなもので貫かれた穴,,,凄惨な拷問の痕に言葉もない。 「民主的な選挙」(ブッシュ大統領)を経て、ジャファリ首相率いる移行政権が発足した今年5月以降、バグダッドでは写真の男性のような、激しい拷問の痕がある遺体が月に数百〜1000体以上も発見されるようになった。しかも、これらの残虐行為は米軍やテロリストではなく、イラク治安当局自身の手によって行われているというのだ。
 遺体写真を撮影したイラク人ジャーナリスト、イサム・ラシード氏は語る。

 「目撃者に聞いたのですが、殺されたオマル・アハメドさんは、警察の検問所で拘束されたそうです。彼は夜中の0時ごろ、バグダッド東部のアダミヤ地区を車で移動していました。現在、バグダッドでは夜10時から朝6時まで夜間外出禁止令が発令されています。おそらく、これが原因で拘束されたのでしょう」。

 アハマドさんが逮捕されたのは先月1日。心配した家族は行方を追ったが、1週間後、彼は市内の遺体安置所で変わり果てた姿で発見された。テロが頻発する中とはいえ、夜間外出禁止令に違反しただけで、警察が死に至るまでの拷問を加えたとは、にわかには信じがたい。しかし、ラシード氏は「これがイラクの現実だ」という。「家族の誰かが警察に逮捕され行方不明になったら、まず遺体安置所を探す。いまのイラクではこれが常識なんです」

 今年8月20日、現地20組織による人権団体ネットワーク「イラクの人権モニタリングネット」がアナン国連事務総長に宛てた報告書の中には、イラクの治安当局による拷問の恐怖が克明に記されていた。一部を引用しよう。

 「イラク軍や警察の拷問は、米軍のやり方を受け継ぎ、より残忍なものとなっている。ワイヤでの鞭打ち、(特に性器への)電気ショック、タバコの火を押し付ける、眠らせない,,,これら従来の方法に加え、ドリルで体に穴を空け、そこへ塩酸を流し込むことも行われる。そして、“やってもいない罪を自白する文書”にサインさせられるのだ」

 サダム独裁時代を彷彿とさせる虐殺行為だ。しかし、サダム時代とは逆に、現在、イラクの軍や警察の主体は人口の6割を占め、先の選挙で国民議会の過半数の議席を得たイスラム・シーア派。不当拘束と拷問で殺されるのは、人口の2割程と少数派のスンニ派である。
 バグダッド在住のスンニ派住民で、筆者の友人であるMさんは「絶対匿名」を条件にこう語った。

 「数ヵ月ぶりに帰ったイラクで僕がどんなにショックを受けたかわかるかい? 父に再会すると、彼は両目から涙を流しながら『お前、○○を知っているよな』と聞く。知ってるよ、と答えると『彼は殺された』と。聞けば、知り合いの半数近くが殺害されていた。彼らを拘束し、殺したのはイラク軍だったんだ」

 Mさんが語気を強める。「シーア派有力政党であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)とその民兵組織『バドル軍団』らがこの国をメチャクチャにしているんだ! SCIRIは軍や警察の90%をシーア派で固め、やりたい放題。僕たちスンニ派はいつも『治安部隊の連中に殺されるんじゃないか』と怯え、昼間でもカギをかけて自宅に隠れる日々。実際、82人ものスンニ派イスラム指導者が軍や警察に殺された。奴らは家宅捜索と称し、家の中のもの全てを奪い去り、人々を虐殺する」

 サダム・フセイン元大統領の独裁時代、SCIRIは激しい弾圧を受け隣国・イランに亡命した。そのとき、イラン軍から訓練を受けたのが、バドル軍団だった。サダムを倒すことだけを叩きこまれ、スンニ派を「サダムの支持者」と憎む彼ら。SCIRIの党員であり、移行政権で内務相となったバヤーン・ジャブル氏が彼らを治安当局に組み込んだことがこうした事態の背景にある。
 今月15日には、新憲法案の国民投票が行われるが、クルド人勢力やSCIRIなどシーア派勢力が「連邦制」を憲法案に含めたことで、対立はより激化している。この案では、スンニ派が多い油田のない地域の「州」では石油の販売による収入を得られないようになるからだ。

 イラクでは「一部の過激なスンニ派グループ」によるシーア派への自爆テロが収まらない。しかし、大マスコミは「フセイン時代の武装勢力の残党による民主化を邪魔するテロ」と上っ面だけの報道を繰り返すだけだ。前出のスンニ派・Mさんが嘆く。

 「サダム時代を含めても、こんなにスンニとシーアが憎みあったことはない。これは『最悪の結末』の始まりだ。国境にはイラクの人々のクルマがあふれている。国を捨てて逃亡を図る人たちです」

 戦争の大義を失ったブッシュ大統領が最後の拠り所とする「イラクの民主化」。だが、スンニ派を「サダム支持層」と敵視し、バドル軍団をより凶悪な「殺人集団」に育てあげた当事者である米国は、この惨状にも知らぬ顔だ。このツケを払わされるのはイラク国民だけでなく、現場の米軍兵士、そして、派遣期限延長が囁かれる自衛隊員なのかもしれない。(了)


*本ページ記事はFRIDAY2005年10月21日号に掲載されたものですが、本HP転載にあたり一部の表現を修正しました。